ダイカストとは
鋳造の一種であるダイカスト(ダイキャスト)は熱して溶けた金属を金型に流し込み、圧力をかけて成形します。鋳造の代表格である砂型鋳造と比べて精密で表面が綺麗な製品を作る事が出来ます。毎回壊して製品を取り出す生型と異なり、繰り返して型が使えますが、金型費はそれなりに高価で大量生産に向いた製造方法です。丸棒や角材など塊から削り出して作る切削製品ほどの寸法精度と表面のなめらかさはありませんが、材料の無駄が少なく低コストで製造可能であり、工業品として最高の鋳造製法とも言われています。
ダイカストは自由度が高く複雑な形状が作れるので部品数削減や組み立て工数削減にきわめて大きなメリットがあります。材料はアルミニウムが圧倒的に多く、次に亜鉛、マグネシウムと続きます。アルミは鉄の3分の1ととても軽く(アルミの比重2.71、鉄の比重7.87)、亜鉛より経年劣化が少なく熱伝導性が高いのが特徴です。亜鉛は溶融温度が低く成形性に優れ、金型を痛めにくいメリットがある他、耐衝撃性に優れているため電送ボックスや携行品など精緻な形状品に多く採用されています。例えばカメラのボディやアンティークなランプの筐体などです。マグネシウムは鉄の4分の1とアルミよりさらに軽く寸法安定性にもすぐれる事から、自動車部品や電動工具、光学機器、精密機器、釣り具などレジャーグッズに使用されます。特に自動車用途ではさらなる燃費向上、動力性能向上の観点から実用強度金属としての切り札とも言われています。
ダイカストに多い品質トラブルとして「鋳巣」があります。これは溶けた金属を流し込んで成形する際に空気を巻き込んだり、冷えて収縮した際に真空の隙間が生じるといったものです。外観的な不良以外にもエンジンや流体ポンプなど気密性が要求される部品についてはこの孔から漏れ出すことがないよう管理する必要があります。
昨今、自動車業界ではテスラのギガブレス、トヨタのギガキャストと呼ばれる自動車の一体ダイカスト成形による生産革新が始まりつつありダイカスト業界で大きな話題となっているところです。日本にはダイカスト会社が約800社あり、その生産量は約80万トンとも言われています。中国は2022年度で598万トン(出所:中国铸造协会、中信建投证券)の生産量でした。これからは世界的にも自動車鋼板が減少し、ダイカストが増えてくる時代になってくるものと推察されます。
当社の特徴
当社ダイカスト工場の規模は、日本ではやや大きい部類、中国では中堅クラスの規模感ですが、日本国内においても中国においても金型の設計から製造、機械加工、検査、表面処理まで一貫してできる会社はそう多くありません。当社は一貫生産を活かした短納期体制に加え、金型内製化するなどの事によりスコスト競争力を高めているのが大きな特徴です。
・アルミニウム、亜鉛、マグネシウムに対応
・10基のダイカストマシン
・型締力2000トン 大物製品も製造可能
・製造性考慮設計(Design For Manufacture:DFM)提供
・30日~40日で金型製作、最小生産数50個、簡易型23万円~
・含浸、疲労試験、強度試験、非破壊検査など各種検査に対応
・アルミニウム、亜鉛、マグネシウムに対応
ホットチャンバーダイカストマシンでは亜鉛合金製品(ZDC)、コールドチャンバーのダイカストマシンではアルミニウム合金製品(ADC)を主に製造しています。数グラムの極小部品から1Kg程度の部品が多く、5Kgを超える部品は提携工場で製造しています。
材料 :
亜鉛合金 Zamak2, 3, 5, 27
アルミニウム合金 A380、A360、A413、ADC12、ZL102、ZL104、ZL108等
マグネシウム合金 AZ91B(MDC1B)、AZ91D(MDC1D)、AM60B(MDC2B)、
AS41B(MDC3B)、AM50A(MDC4)、AM20A(MDC5)、AS21A(MDC6)、AZX611、AZX612等
製品重量:
亜鉛合金 0.5g~1,500g
アルミニウム合金 1g~5,000g
マグネシウム合金 1g~5,000g
亜鉛製 | マグネシウム製 |
・10基のダイカストマシン
麗水工場ではホットチャンバーとコールドチャンバーのダイカストマシンを大小合わせて10基保有しています。納期が急がれている製品への切り替えなど工程組み変更にも融通が利くよう柔軟な製造管理体制を敷いています。
・型締力2000トン 大物製品も製造可能
2350mm×2250サイズの金型が装着可能なダイカストマシン(コールド)により重さ10kg程度までの製造が可能です。
・製造性考慮設計(Design For Manufacture:DFM)提供
ダイカストは品質維持や歩留まりの観点から製造性容易設計:DFMが欠かせません。DFMを行わずに製品形状を決めてしまうと場合によっては振り出しとなり設計のやり直しが必要になるケースもあります。そのため、早い段階からお客様との間で打ち合わせを行い、形状を決定していくのが一般的です。弊社は長年培った自社工場での製造経験と技術知見、さらにはDFMツールも併用して抜き勾配や金型強度解析を行いつつ、お客様との間でスピーティで合理的な金型設計を行っています。
・30日~40日で金型製作、最小生産数50個、簡易型23万円~
ダイカストは生産性が高く金型費も高価なため少量生産は苦手です。弊社は、中国ならではの強みを活かして国内よりも相当安く金型を準備出来ます。SKD61をはじめ、P20、H13、Dievirの他、快削プリハードン鋼(FDAC)などによる簡易金型にも対応しており、少量生産も短納期低価格にて承っています。さらにはODM設計体制により試作も得意としています。金型の耐用数は簡易型で5,000個程度以上、通常型で100,000個~150,000個程度以上です。
これまで開発は試作、少量生産は国内、大量生産は海外でといった棲み分けがされていましたが、試作段階から弊社にしていただくことで開発コストの大幅削減が可能です。
・機械加工に対応
70基を超える加工機械によりダイカスト製品の機械加工を行っています。
CNCマシニングセンター工場 |
・含浸、疲労試験、強度試験、非破壊検査など各種検査に対応
静電粉体塗装、スプレー塗装、めっき、鏡面研磨、アルマイト(アルミのみ)等各種表面処理も社内設備または提携工場にて対応しています。
静電粉体塗装ライン |
・含浸、疲労試験、強度試験、非破壊検査など各種検査に対応
ダイカストの鋳巣は製品用途によっては大きく品質に影響します。
弊社は自動車や船舶、航空機など高い信頼性が求められる部品製造が多いことから鋳巣に対して様々に対応しています。
例えばエンジンやポンプなど気密性が要求される部品については含浸処理を行うとともにリーク検査を行っています。
試験検査例 疲労試験、疲労き裂進展試験、強度試験、リーク試験、X線検査、CT検査
X線検査装置 | X線撮像例 |