静電粉体塗装とは
粉体塗装といえば静電粉体塗装のことを指すほど一般的な塗装方法です。
粉末状の塗料をスプレーガンという器具で帯電させながらワークに噴霧させた後、加熱して塗料を溶かし一定の塗膜状態にさせて焼き付け固化させます。
電気を帯びたパウダーは一方向からの噴霧においてもワーク裏側に回り込むように吸着するため比較的ワーク全体にムラなくコーティングされます。膜厚は30μm~150μm程度の範囲でコントロール出来ます。角など尖ったところは薄くなりがちなのであらかじめ面取りしておく必要があります。
粉体塗装と言えば静電粉体塗装の事を指すほどの代表的な塗装方法になり当社では連続式の塗装装置を2ライン保有しています。
長所
・ワークの大きさにあまり制約がない。
・均一の膜厚が得やすい。
・膜厚の範囲が広くコントロールしやすい。
・耐衝撃、耐熱、耐候性に優れたコーティングが出来る
短所
・角の尖ったところは膜厚が薄くなりやすい
・凹形状の奥には塗料が入らない
・電気を通さないワークには塗装出来ない
・2度塗りが出来ない。
当社の取り組み
南京工場に全自動の静電粉体塗装ラインを保有しています。
ハンガーと呼ばれる引っかけ金具にワークを吊してゆっくり移動しながら塗装室と加熱炉を通り抜けていく大きな設備です。
静電粉体塗装ラインはその構造と大きさゆえ、色替えの段取り時間が長く色が換え時のに無駄なパウダーがロスになってしまう問題がありますが、当社はコンピュータによるバウダー管理が秀逸と評価される管理スイスGema社製の塗装ラインを導入、短時間でロスの少ない色替えが可能となり他品種小ロットに適する柔軟な塗装ラインが特徴になっています。
ハンガー金具を工夫することで最大1mのワークにも対応しています。
パウダーは化学物飛散しやすいため、国内同様SDS(旧MSDS)Safety Data Sheet : 安全データシートにより適切に管理されます。
静電粉体塗装ライン |
ハンガー |
●前処理
金属を腐食から守るために従来から塗装前にリン酸塩皮膜処理を実施することが広く行われています。
当社では地球環境への影響や人体に重篤な影響をおよぼすリン酸を含まない無リン酸化剤にて前処理を行っています。
カドミウム等重金属も含まず、スラッジも殆ど発生しないことから排水処理も容易です
鉄、亜鉛メッキ材、アルミニウムに適応します。
脱脂 → 脱脂水洗 → 純水洗浄 → 化成処理 →
化成水洗 → 純水洗浄 → 乾燥
●装置の仕様
塗装方式 :静電塗装 トロリーコンベア
ライン長 :20m×2ライン
加熱炉温度 :150℃~230℃
ワークサイズ:縦100cm×横100cm×高さ100cm
ワーク重量 :30kg
塗膜厚 :60μm~100μm
硬度 :2H以上
ロット :1個~
素材 :鉄、アルミニウム、亜鉛、亜鉛めっき品、
密着性アルマイト処理品
●塗料の種類
パウダー材質 :ナイロン、ポリエステル、エポキシ、
ポリエチレン、他
主要パウダーメーカー:AKzon Nobel、Tiger powder、
TCI POWDER、DUPONT
●標準試験
膜厚試験衝撃試験、曲げ試験、クロスカット試験、密着性試験、
鉛筆硬度試験、色差・色収差検査、
光沢度検査塩水噴霧試験(中性塩水噴霧試験 NSS:Neutral Salt Spray test)2000時間
●個別試験
RoHsテスト、UV試験、湿熱試験、キセノンランプ試験、
フロリダ暴露試験